痔について
痔の種類

直腸肛門部の血行が悪くなり、血管の一部がふくれあがる【痔核】
硬い便によって肛門上皮がさける【裂肛】
細菌感染が原因で、うみが出る【肛門周囲膿瘍・痔瘻】
痔核
痔核には、歯状線よりも上の粘膜の部分にできる内痔核と、下の皮膚の部分にできる外痔核があります。普通、痔核という内痔核をさします。
裂肛

- 排便時と、その後もしばらく痛みが続く。
- 出血は紙につく程度。
痔瘻(じろう)

膿瘍(おできのようなもの)が切開されるか、あるいは自然に破れたりするとうみが出て、直腸、肛門とつながった膿の管ができます。これを痔瘻といいます。
- 肛門周囲の皮膚に出口ができて、うみが出る。
- 出口がなかったり、出口がふさがると痛みと熱が出る。
痔の硬化療法・手術療法
痔の程度により手術をしないで治療する硬化療法と硬化療法の適応外の痔に対しては、手術療法を行っています。どちらの方法が最適かはご相談ください。硬化療法 | 手術療法 | |
---|---|---|
入院期間 | 1日~2日 | 約1週間前後 |
※場合によっては、日数の短縮及び日帰り手術も可能 | ||
手術費用 | 2万~5万 | 8万~12万 |
※負担金3割の場合(食事・療養費を含む) |
硬化療法
局所麻酔または、腰椎麻酔下で、商品名ジオン注射(硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸注射液)を痔核内へ注入することにより、内痔核を切らずに脱出と出血を治療し、硬化退縮させます。1日~2日の入院を要します。ジオン注による治療法とはどんなものでしょうか?

痔核を切り取る手術と違って、痔核の痛みを感じない部分に注射するので「傷口から出血する」「傷口が痛む」というようなことはなく、入院期間の短縮も期待できます。
ジオン注とはどんな薬でしょうか?
ジオン注の有効成分は硫酸アルミニウムカリウム水和物とタンニン酸というものです。- 硫酸アルミニウムカリウム水和物…出血症状や脱出症状を改善する
- タンニン酸…硫酸アルミニウムカリウム水和物の働きを調整する
どのようにジオン注を投与するのでしょうか?

ジオン注はひとつの痔核に対して図のように4か所に分割して投与します。これは痔核に薬液を十分に浸透させるための方法で、四段階注射といいます。複数の痔核がある場合は、それぞれに投与します。
投与後しばらく点滴を続け、麻酔の影響がなくなるまで安静にする必要があります。
ジオン注を投与するとどうなるのでしょうか?


- 出血がみられなくなります。
- 脱出や肛門のまわりの腫れがなくなります。
ジオン注の投与後の経過は?

手術療法
腰椎麻酔下に- 痔核に対しては流入動脈を結紮後痔核部分を切除します。
- 裂肛に対しては裂肛部分の切除を行います。
- 痔ろうについてはろう孔部分を切開開放し、ろう孔内腔を十分に掻爬(そうは)切除します。
肛門疾患に対する注意
規則正しい排便習慣を身につけましょう
- 便通を整える為に食物繊維や水分を摂る
- 便意があったら我慢しないでトイレに行く
- トイレに長居をしない・いきむのは3分以内・無理に出さない
- 下痢を防ぐためにアルコール類、香辛料は控える
- 腸の働きをよくするために適度な運動をする
- 便秘の原因になる無理なダイエットはしない

おしりを清潔にしましょう

「水圧は弱めに」「温度に注意」「刺激しすぎない」
おしりに力がかからないように便器の上に洗面器をおいておしりを洗います。

乾燥機能のない場合は清潔なタオルなどで軽くおさえるようにします。

お風呂に入る時は、石鹸でゴシゴシ洗うのではなく、お湯で流すようにしてください。